行列式と面積 のバックアップ(No.4)
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【2.2.3】線形代数学 Linear algebra
【2.2.3.3】行列式 Determinant
【2.2.3.3.1】行列式と面積
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※1 このページではMathJax を利用しております。環境によっては数式を表示できないかもしれません。
※2 二次正方行列の行列式の公式と合ってるかの計算は次回でやります。
contents
二次の行列式とグラフ上の面積。
二次正方行列を見てみると、二本の縦ベクトルと見ることもできる。
\( A=\left(\begin{array}{ccc}a_x b_x \\a_y b_y \\\end{array}\right) \to \left(\begin{array}{c}a_x\\a_y\\\end{array}\right) と \left(\begin{array}{c}b_x\\b_y\\\end{array}\right) \)
(二次正方行列の)行列式とは、この二本の縦ベクトルで作れる平行四辺形の(符号付きの)面積のことを言い、
\( \left|\begin{array}{cc}a_x & b_x \\a_y & b_y \\\end{array}\right| \) あるいは \( \det A \) と表記する。
ref
では、片方のベクトルを長くすると、どうなるか。
ref
\( \vec{a} \) を \( \lambda \vec{a} \) に伸ばすと、面積も \( \lambda \) 倍になった。
同じことは\( \vec{b} \)を伸ばした場合にも言える。
このことから、
\( \left|\begin{array}{rr} \lambda\ a_x & b_x \\\lambda\ a_y & b_y \\\end{array}\right|= \lambda \left|\begin{array}{cc}a_x & b_x \\a_y & b_y \\\end{array}\right| \)
という計算式が成り立つことが分かった。
負の面積?
では、\( \lambda \) を負にするとどうなるか。
ref
負の面積っていうのも、ピンと来ないかもしれないが、反対側に\( \lambda \) 倍になってるのを見ると、負の面積というのも許していいかな……?という風に思える(思って)。
ベクトルの足し算と面積
では、今度は\( \left|\begin{array}{rr} \ a_x+c_x & b_x \\ a_y+c_y & b_y \\\end{array}\right| \) となっているときを考える。
ref
このとき上の図から、\( \vec{a} \)と\( \vec{b} \)の平行四辺形と\( \vec{c} \)と\( \vec{b} \)の平行四辺形とを足し合わせると、\( \vec{a}+\vec{c} \)と\( \vec{b} \)の平行四辺形と同じ面積となってる。
つまり、
\( \left|\begin{array}{rr} a_x+c_x & b_x \\ a_y+c_y & b_y \\\end{array}\right| = \left|\begin{array}{cc}a_x & b_x \\a_y & b_y \\\end{array}\right| + \left|\begin{array}{cc}c_x & b_x \\c_y & b_y \\\end{array}\right| \)
これも、\( \vec{b} \)についておなじことをしても成り立っている。
(二次正方行列の)線形多重性
\( \left|\begin{array}{rr} \lambda\ a_x & b_x \\\lambda\ a_y & b_y \\\end{array}\right|= \lambda \left|\begin{array}{cc}a_x & b_x \\a_y & b_y \\\end{array}\right| \)
と
\( \left|\begin{array}{rr} a_x+c_x & b_x \\ a_y+c_y & b_y \\\end{array}\right| = \left|\begin{array}{cc}a_x & b_x \\a_y & b_y \\\end{array}\right| + \left|\begin{array}{cc}c_x & b_x \\c_y & b_y \\\end{array}\right| \)
の二つの式が成り立ってると考えると、以下の式にまとめられる。
\( \left|\begin{array}{rr} \lambda a_x + \mu c_x & b_x \\ \lambda a_y + \mu c_y & b_y \\ \end{array}\right| = \lambda \left|\begin{array}{cc}a_x & b_x \\a_y & b_y \\ \end{array}\right| + \mu \left|\begin{array}{cc}c_x & b_x \\c_y & b_y \\ \end{array}\right| \)
また、\( \vec{b} \)のほうについても同様に、
\( \left|\begin{array}{rr} a_x & \lambda b_x + \mu c_x \\ a_y & \lambda b_y + \mu c_y \end{array}\right| = \lambda \left|\begin{array}{cc}a_x & b_x \\a_y & b_y \end{array}\right| + \mu \left|\begin{array}{cc}a_x & c_x \\a_y & c_y \end{array}\right| \)
縦ベクトルが同じ場合(退化条件)
\( \left| \begin{array}{cc} a_x & a_x \\ a_y & a_y \end{array} \right| \)
を考えると、縦ベクトル\( \left( \begin{array}{c} a_x \\ a_y \end{array} \right) \) が二つ並んでるので、同じベクトルを二つ持ってきても、面積にはならない。よって、行列式もと考えることができる。
縦一列がゼロの場合
縦一列が0、つまり、
\( \left|\begin{array}{rr} a_x & 0\\ a_y & 0 \end{array}\right| \) や \( \left|\begin{array}{rr} 0 & b_x \\ 0 & b_y \end{array}\right| \)
のとき、縦ベクトルを考えると、片方のベクトルの長さは0であるため、当然、面積も0となる。
よって、
\( \left|\begin{array}{rr} a_x & 0 \\ a_y & 0 \end{array}\right|=0 \) , \( \left|\begin{array}{rr} 0 & b_x \\ 0 & b_y \end{array}\right|=0 \)
これは線形多重性から導くこともできる。
\( \left|\begin{array}{rr} a_x & 0 \\ a_y & 0 \end{array}\right| \) \( =\left|\begin{array}{rr} a_x & a_x-a_x \\ a_y & a_y-a_y \end{array}\right| \) \( =\left|\begin{array}{rr} a_x & a_x \\ a_y & a_y \end{array}\right|+(-1)\left|\begin{array}{rr} a_x & a_x \\ a_y & a_y \end{array}\right| \) \( =0 \)
列の入れ替え
では、列を入れ替えてみるとどうなるだろうか。
実は線形多重性や退化条件から導くことができる。
同じ縦ベクトルを二本並べて作った行列を考える。
このとき、同じベクトルを並べてるだけなのだから、退化条件からこの二本のベクトルでできる行列式はとなる。
\( \vec{c}=\vec{a}+\vec{b} \) となるベクトルを考えると、
\( \left|\begin{array}{rr} c_x & c_x \\ c_y & c_y \end{array}\right|=0 \)
よって、
\( \left|\begin{array}{rr} a_x + b_x & a_x + b_x \\ a_y + b_y & a_y + b_y \end{array}\right|=0 \)
線形多重性より
\( \left|\begin{array}{rr} a_x & a_x + b_x \\ a_y & a_y + b_y \end{array}\right| + \left|\begin{array}{rr} b_x & a_x + b_x \\ b_y & a_y + b_y \end{array}\right|=0 \)
さらに線形多重性より、
\( \left|\begin{array}{rr} a_x & a_x \\ a_y & a_y \end{array}\right| + \left|\begin{array}{rr} a_x & b_x \\ a_y & b_y \end{array}\right| + \left|\begin{array}{rr} b_x & a_x \\ b_y & a_y \end{array}\right| + \left|\begin{array}{rr} b_x & b_x \\ b_y & b_y \end{array}\right|=0 \)
同じ縦ベクトルがあると、0となるので、
\( \left|\begin{array}{rr} a_x & b_x \\ a_y & b_y \end{array}\right| + \left|\begin{array}{rr} b_x & a_x \\ b_y & a_y \end{array}\right| =0 \)
よって、
\( \left|\begin{array}{rr} a_x & b_x \\ a_y & b_y \end{array}\right| = - \left|\begin{array}{rr} b_x & a_x \\ b_y & a_y \end{array}\right| \)
この計算によって、列を入れ替えると、符号が逆転することが分かった。
じゃあ計算
もし、行列式の公式、\( a_x b_y - a_y b_x \) を知ってる人がいたら、これで本当に見知った公式になるのか、疑わしいと感じるかもしれない。
なので、実際に計算をして盛る。
\( \left|\begin{array}{rr} a_x & b_x \\ a_y & b_y \\\end{array}\right| \)
\( =\left|\begin{array}{rr} a_x+0 & b_x \\ 0+a_y & b_y \\\end{array}\right| \)
\( =\left|\begin{array}{rr} a_x & b_x \\ 0 & b_y \\\end{array}\right| + \left|\begin{array}{rr} 0 & b_x \\ a_y & b_y \\\end{array}\right| \)
\( = a_x \left|\begin{array}{rr} 1 & b_x \\ 0 & b_y \\\end{array}\right| + a_y\left|\begin{array}{rr} 0 & b_x \\ 1 & b_y \\\end{array}\right| \)
\( = a_x \left|\begin{array}{rr} 1 & b_x+0 \\ 0 & 0+b_y \\\end{array}\right| + a_y\left|\begin{array}{rr} 0 & b_x+0 \\ 1 & 0+b_y \\\end{array}\right| \)
\( = a_x \left|\begin{array}{rr} 1 & b_x \\ 0 & 0 \\\end{array}\right| + a_x \left|\begin{array}{rr} 1 & 0 \\ 0 & b_y \\\end{array}\right| + a_y\left|\begin{array}{rr} 0 & b_x \\ 1 & 0 \\\end{array}\right| + a_y\left|\begin{array}{rr} 0 & 0 \\ 1 & b_y \\\end{array}\right| \)
\( = a_x b_x \left|\begin{array}{rr} 1 & 1 \\ 0 & 0 \\\end{array}\right| + a_x b_y \left|\begin{array}{rr} 1 & 0 \\ 0 & 1 \\\end{array}\right| + a_y b_x\left|\begin{array}{rr} 0 & 1 \\ 1 & 0 \\\end{array}\right| + a_y b_y\left|\begin{array}{rr} 0 & 0 \\ 1 & 1 \\\end{array}\right| \)
列を入れ替えると符号は逆になるので、
\( = a_x b_x \left|\begin{array}{rr} 1 & 1 \\ 0 & 0 \\\end{array}\right| + a_x b_y \left|\begin{array}{rr} 1 & 0 \\ 0 & 1 \\\end{array}\right| - a_y b_x\left|\begin{array}{rr} 1 & 0 \\ 0 & 1 \\\end{array}\right| + a_y b_y\left|\begin{array}{rr} 0 & 0 \\ 1 & 1 \\\end{array}\right| \)
単位行列の行列式は1になるので、
\( = a_x b_x \left|\begin{array}{rr} 1 & 1 \\ 0 & 0 \\\end{array}\right| + a_x b_y - a_y b_x + a_y b_y\left|\begin{array}{rr} 0 & 0 \\ 1 & 1 \\\end{array}\right| \)
多重線形性より、ある列の実数倍を別の列に足してもよいので、
\( = a_x b_x \left|\begin{array}{rr} 1 & 0 \\ 0 & 0 \\\end{array}\right| + a_x b_y - a_y b_x + a_y b_y\left|\begin{array}{rr} 0 & 0 \\ 1 & 0 \\\end{array}\right| \)
縦に0が並んでると行列式は0なので、
\( = a_x b_y - a_y b_x \)
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