数列の極限

Last-modified: Tue, 30 Oct 2018 17:21:01 JST (2005d)
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【2】数学 Mathematics
【2.3】解析学 Analysis
【2.3.1】解析学基礎
【2.3.1.d】数列の極限 Limit of a sequence

※1 このページではMathJax を利用しております。環境によっては数式を表示できないかもしれません。

※2 この項で数列という場合、特に言わなくても無限数列のことを指します。

とりあえず単位を取りたい

数列の収束の証明の定型文

\( \displaystyle \lim_{x \to \infty} a_n=a \) の証明:定型文

任意な \( \epsilon>0 \) に対して、

1つの自然数を \( N> ( \epsilon の式 ) \)  となるようにとれば、

\( n>N \) ならば、\( | a_n - a | = \fbox{nの式} < \fbox{Nの式} <\epsilon \)


数列の無限大への発散の証明の定型文

\( a_n が \infty に発散する証明:定型文 \)

任意な \( M>0 \) に対して、

1つの自然数を \( N> ( \epsilon の式 ) \)  となるようにとれば、

\( n>N ならば、 | a_n - a | = \fbox{nの式} > \fbox{Nの式} >M \)

数列の極限

高校でも習った通り、数列の極限には以下のパターンがある。

この3パターンについて、より厳密に考える。

数列の収束

収束の定義(ε-N論法)

高校レベルにおいては、数列の「収束」は、

\( n \)が限りなく大きくなると、 \( a_n \) がある値 \( \alpha \)無限に近づくとき、 \( \alpha \)に収束するという。」

また、このとき、

\( \displaystyle \lim_{x \to \infty} a_n= \alpha \) または\( a_n \to \alpha ( x \to \infty ) \)と書ける。

しかし、これは厳密に考えると正確な表現とはいえない。
厳密な収束の定義は以下のようになる。


【ε-N論法(数列の収束の定義)】 
「任意な正の \( \epsilon \)について\( \forall \epsilon > 0 \)
それに対して適切に \( N \) をとれば、\( \exists N \in \mathbb{N} \)
\( N \)より大きい全ての\( n \) に対して、\( \forall n > N \)
\( |a_n - \alpha| < \epsilon \) とすることができる。 」


ε-N論法の意味

上のように収束の定義を言われて、すぐにこれを理解できるかというと、できる人はできるが、おそらく多くの人はちょっと厳しいのではないのだろうか。
というわけで、その意味を詳しく見ていく。

\( a_n \)を直接扱うのはちょっと大変なので、\( |a_n-\alpha| \)について考える。
もし、\( a_n \)\( \alpha \)に収束すると考えると、下の図のようになる。

収束する \( |a_n-\alpha| \) の一例。
NumericalSequence2.png

\( \epsilon \)の値を適当に(サイコロでも振って)決めてみると、
上の図のようにグラフが波打ってれば、\( |a_n-\alpha| \)\( \epsilon \)を下回ることは複数回ある。
いっかい下回ったとしても、また\( \epsilon \)より多くなりことも、ありうる。
しかし、もし、\( a_n \)が収束する(つまり、nが大きくなるほど\( |a_n-\alpha| \) が0に近づいていく)なら、ここを最後に、二度と\( |a_n-\alpha| \)\( \epsilon \)よりも大きくならない、そんなポイントがあるはずだ……と考えてみる。

そのポイントが上図のNであり、Nより先のnについては、必ず\( |a_n-\alpha| \)\( \epsilon \)より小さくなっている。

また(サイコロでも振りなおして)\( \epsilon \) の値を決めてやる。
そうすると、うまーくNの値を取ってやれば、同じように、Nから先は、\( \epsilon \) より小さいようにすることができる。

\( \epsilon \) をどんなにいじっても、どんなに小さくしても、うまーくNを決めてしまえば、Nから先は、\( \epsilon \) より小さい……これが収束である。

とはいえ、\( \epsilon \) が変わる度にNを定めていては、無限に証明を書く羽目になってしまう。そこで、Nを\( \epsilon \) の式で書いてみてはどうだろうか?(次章へ続く!)

数列の収束の証明の定型文

では、実際に具体的な\( a_n \)を与えられたとき、証明する手続きを考えてみると、「うまーくNを、\( \epsilon \) の式で表したら、\( | a_n - \alpha | \)\( \epsilon \)より小さくなった。」 というふうになる。これをちゃんと書けば、


\( \displaystyle \lim_{x \to \infty} a_n=a \) の証明:定型文 】
任意な \( \epsilon>0 \) に対して、
1つの自然数を \( N> ( \epsilon の式 ) \)  となるようにとれば、
\( n>N \) ならば、\( | a_n - \alpha | = \fbox{nの式} < \fbox{Nの式} <\epsilon \)


このとき、具体的な\( a_n \)が与えられていれば、
\( | a_n - \alpha | = \fbox{nの式} < \fbox{Nの式} <\epsilon \)
の部分は単純な式変形で決められる。
そして、\( N> ( \epsilon の式 ) \)は、\( \fbox{Nの式} <\epsilon \) を式変形すれば書ける。

実際に使ってみる

【問題:\( \displaystyle a_n= \frac{1}{n} \) の極限を求めよ】

【考え方】
\( \displaystyle | a_n - \alpha | \) \( \displaystyle = |\frac{1}{n}-0| \) \( \displaystyle = \frac{1}{n} \)

…… \( \displaystyle N<n \)より、

\( \displaystyle \frac{1}{n} < \frac{1}{N} <\epsilon \)

よって、式変形すると、

\( \displaystyle N > \frac{1}{\epsilon} \)

これで、\( \epsilon \)の式が求まったので、証明文は以下のように書ける。


\( \displaystyle \lim_{x \to \infty} \frac{1}{n}=0 \) の証明】
任意な \( \epsilon>0 \) に対して、
1つの自然数を \( \displaystyle N> \frac{1}{\epsilon} \)  となるようにとれば、
\( n>N \) ならば、\( \displaystyle | a_n - \alpha | = \frac{1}{n} < \frac{1}{N} <\epsilon \)


数列が無限大へ発散する

無限大へ発散の定義

これも \( \epsilon - N \) 論法と似たような考え方をする。
ただし、収束の時には 「\( \epsilon \)より小さい」を考えたが、
無限大への発散の時には「Mより大きい」を考える。

※文字を変えるのは気分の問題。\( \epsilon \)は小さい数の印象があるため、別の文字を用意した。Mではなくて、Kなどを使う時もある。

【数列の無限大へ発散の定義】 
「任意な正の実数Mについて\( \forall M > 0 \)
それに対して適切に \( N \) をとれば、\( \exists N \in \mathbb{N} \)
\( N \)より大きい全ての\( n \) に対して、\( \forall n > N \)
\( |a_n - \alpha| > M \) とすることができる。 」

数列の無限大への発散の証明の定型文

\( a_n が \infty に発散する証明:定型文 \)

任意な \( M>0 \) に対して、

1つの自然数を \( N> ( \epsilon の式 ) \)  となるようにとれば、

\( n>N ならば、 | a_n - a | = \fbox{nの式} > \fbox{Nの式} >M \)

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参考

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  • テスト -- マスク 2017-08-21 (月) 15:28:53
  • てすと -- マスクマン 2017-08-21 (月) 15:39:40
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